こんにちは。ルミルミです。今日はみりんの話。
昔は料理にはみりんをほとんど使わず、甘みは砂糖でつけていたのですが、今は砂糖はほとんど使わなくなりました。
その代わり使うようになったのが「みりん」。
最近ではみりんを使わずとも甘みを感じられるようになってきたため、みりんすら入れずに煮物を作ることも多いのですが、味に変化をつけたり、照りを出したり、砂糖の代わりにしたりと、何かとお世話になっています。
みりんは、煮物を美味しくしたり、照り焼きの魚を美しくする和食の調味料。昔は飲み物としても親しまれていたのですが、みりんを飲んだことのある方、飲んで「美味しい」と感じられた方は少数派ではないでしょうか。それもそのはず、スーパーなどでよく見かけるみりんは昔ながらの「みりん」とは姿を変えているのです。みりんの歴史や種類、えらびかたをまとめました。
みりんの起源は平安時代にさかのぼります。
みりんの起源は平安時代。日本酒を仕込むのと同じ方法で、日本酒を使って大変甘いお酒を作っていたとされています。室町時代に琉球より蒸留酒の製法が伝わって、日本に古くからある練酒、白酒などの甘いお酒の腐敗防止のために焼酎が使われるようになり、改良されてみりんになったという日本発生説と中国から渡来した蜜がしたたるような甘い酒「密淋(ミイリン)」が起源という中国伝来説があります。(1593年(文禄2年)の駒井日記にはみりんのことを「美淋」「密淋酒」「味醂酎」等と表記されています)
江戸時代にはお酒に弱い方や女性が飲むものとされていたようですが、次第に調味料としてもみりんが用いられるようになり、醤油との相性の良さから、和食に欠かせない調味料として普及をしました。当時高価で手に入らなかった砂糖よりも入手しやすい甘味料として浸透していき、時代を経る毎に甘みや旨みの濃いものが求められるようになりました。
ところが、みりんには酒税法の影響で「本みりん」「みりん風調味料」「料理酒」などの種類ができ、どれが本物のみりんか区別しにくくなりました。これは、米を材料にするみりんが、戦中・戦後の米不足の中、贅沢品として高額な課税対象になったことに起因しています。そして工業化が進み、安価で大量にみりんに似た調味料が量産される時代に入り、現在に至ります。
みりんのつくりかたと種類
昔ながらの古式製法による本みりんの作り方
1)仕込み
蒸したもち米に米麹を混ぜ、乙類焼酎を加える。焼酎の中で麹がもち米を糖化させていく。時々櫂入れをしながら2~3か月ほど室温で熟成(もろみ熟成)させる。
2)しぼり
熟成させたもろみを酒袋に入れて絞る。
3)熟成
絞ったみりんをさらに1年〜3年程度熟成させる。時間をかけることでみりん特有の琥珀色になる。
みりんの種類
・本みりん(古式製法)
上記にあるような昔ながらの日本の伝統的なみりんの製造方法です。 もち米、米麹、乙類焼酎(米焼酎)のみで作られます。 醸造・熟成期間は1年以上。熟成期間が2年や3年の物もあります。アルコール分は約14%で酒類としての扱いです。
すでに熟成開始時から約14%程度のアルコール分があるので、酵母菌によるアルコール発酵(や雑菌の繁殖)が抑えられるため、日本酒よりも甘くなります。爽やかな風味と甘みがあり、リキュールのように飲めてしまいます。
・本みりん(新式製法)
もち米と米麹に甲類焼酎もしくは醸造アルコールおよび水あめを加え、香味を調整した後、2~3か月の熟成期間で造ります。 短期間ででんぷんやたんぱくの利用率を増やして発酵を進めるため、高温液化などの処理をしています。 アルコール分は約14%で酒類としての扱いです。甲類焼酎もしくは醸造アルコールを使っているため、また熟成期間が短いため古式製法のものと比べて甘みが少ないです。そのため水あめを加えて甘みを足しています。
・みりんタイプ発酵調味料
うるち米を糖化させ、とうもろこしなどでアルコール発酵させて、食塩、糖類およびアルコールを調合したもの。本みりんとの違いはもち米のかわりにうるち米を使っている事、また食塩が入っている事です。アルコール度数は8~20%とさまざまな商品があります。アルコール分を含有していますが、塩を加えて飲用できないようにしているため、酒類には含まれず酒税がかかっていません。一般の食品と同様にどこでも購入できます。飲めるものではありません。
・みりん風調味料
みりん風調味料は、酒税のかからない1%未満のアルコールに、みりんの風味に似せて糖分やアミノ酸等を加えたものです。水あめ、ブドウ糖またはデンプン質の糖化液にグルタミンソーダなどの化学調味料やアミノ酸液、香料等を混合しています。 一般の食品と同様にどこでも購入できます。アルコール分をほとんど含んでいないので、煮切る(煮立ててアルコール分を飛ばすこと)必要がありません。また、素材の臭み消しなどのアルコール由来の効果は期待できません。みりん風調味料で魚の煮付けを作っても、臭みが抜けない原因はこのためです。
製造コストが安く、酒税もかからないため「本みりん」よりも安価で販売されているのです。飲めるものではありません。
料理における、みりんの力
みりんのえらびかたをお伝えする前に、料理におけるみりんの様々な効果もまとめます。
・上品な甘みがつく
砂糖の甘みはショ糖のみのため、強い甘みとなりますが、本みりんの甘みはブドウ糖やオリゴ糖などの多種類で構成されているため、品の良い甘みがつきます。
・深い旨味がつく
本みりんは発酵食品のため、旨み・風味の幅を広げるアミノ酸や有機酸も豊富。そこに品の良い甘みが加わり複雑で深い旨味がつきます。
・味が染み込む
本みりんに含まれるアルコールは分子が小さいため、アミノ酸や有機酸や糖類が早く食材に浸透します。そのため全体的に均等に味を入れることが可能です。
・料理に照りを出す
本みりんはテリ・ツヤに有効な糖類など複数の糖類を含んでいます。
・煮崩れの防止
本みりんに含まれるアルコールと糖質は動物性食材においては繊維の崩壊を抑制し、植物性食材においてはでんぷん粒の流出を抑制します。また、食材に味を閉じ込める作用もあります。
・臭みをとる
本みりんに含まれるアルコールは素材にしみ込み、加熱することで蒸発し、その際に素材の臭みも一緒に消す作用があります。
みりんのえらびかた
これらの効果を得られ、かつ発酵食品としての効果も得るためには下記の2つをポイントにして選びましょう。
・もち米・米麹・本格焼酎のみで作られているものを選ぶ。
古式製法によるみりんは長期熟成された発酵食品です。そのため調味料や水あめなどの余計な甘みは必要ありません。もちろん添加物も必要ありません。
・もうひと舐めしたくなるほどに美味しいみりんを選ぶ。
本みりんとはいえ、伝統的な製法で作られたものではないみりんには醸造アルコールや水あめが入っています。そのまま飲んでみても飲めなくはありませんが、甘みが強すぎて美味しいと感じにくいです。
もちろん、もち米や焼酎の素材にこだわっているものなどがあればそれもオススメです。
余談ですが、、、私もみりんを飲んでいます(笑)。
授乳期間が長かったこともあり、お酒は前にもまして弱くなってしまったのですが、何か少し飲みたい!と思った時。みりんに少し酢を入れて飲んでいます。
古式製法による本みりんは爽やかな甘みがあり、そのまま飲んでもリキュールのように美味しいです。みりんが飲み物として誕生し、江戸時代には滋養強壮ドリンクとして、またお酒を飲めない方へのおもてなしの飲み物として親しまれてきた歴史があるのもうなずけます。
料理の初心者でも美味しく仕上げてくれる「本みりん」。うまく毎日の献立に取り入れてみてくださいね。