本当に美味しいものや、身体にやさしいものをよく噛んで味わうことは、
からだとこころにじんわりと染み入るような感覚。
そこには、安らぎ、愛、喜び、という感情がセットになっている気がします。
こんにちは。
発酵ファスティングマイスターのルミルミです。今日は最近行なったお取り寄せをご紹介します。
広島にある「捨てないパン屋」こと、ブーランジェリー・ドリアンさんのパンです。
「捨てないパン屋」とは?
実は、日本は食料自給率が30%台という食料輸入大国でありながら、食品の廃棄量は世界トップクラスという食品廃棄大国なのです。
環境省の発表によると
平成27年度の食品廃棄物等及び食品ロスの量の推計結果を公表しましたので、お知らせします。食品廃棄物等は約2,842万トン、このうち、本来食べられるにも関わらず捨てられた食品ロスは約646万トンと推計されました。
との事で、その量は深刻です。もちろん、パン屋さんも例外ではありません。
しかし、ドリアンさんは今のスタイルになって以来、一度も廃棄のパンを出したことがないパン屋さんなのです。
もともとはこちらのパン屋さんのご主人・田村さんは、いわゆるよく町にあるパン屋さんのように
毎日前日の夜から仕込みを開始し、翌日夕方の閉店まで休むことなく働き続ける
スタイルで営業されていました。
その頃でも人気店ではあったようですが、閉店後は大量のパンの廃棄に悩まされ
さらにスタッフも抱えているため、苦しい経営状態が続いていたようです。
この現状を打破するために、田村さんはお店を休業してヨーロッパに修行に出かけられました。
そこで出会ったのは、朝からパンを仕込んで、お昼には仕事を終えるパン職人の姿。
働き方に衝撃を受けた田村さんは、出来あがったパンを食べてさらに衝撃を受けたそう。
信じられない美味しさだったからです。
この時に、最高の粉と塩と水だけを使い、薪の石窯でパンを昔ながらのスタイルで
パンを焼くことを学ばれたようです。
帰国後、田村さんはたくさんあったお店のメニューを2種類に絞り、最高の品質の粉と塩だけで練り上げることで、品質が良く日持ちするパンが完成しました。
また営業時間も週3日に見直し、また地方発送も開始。
売れ残ったパンは委託販売を行ったり、ついには小麦粉生産者から「売れ残りはすべて買いますよ」と言っていただいたりなどすることで、売れ残りのないパン屋へと生まれかわられました。
今では県外の有名レストランにも卸していたり、生産者から「田村さんのパンのために小麦を育てるので、どんなものがいいですか?」と言われるほどのようです。
待ちに待ったパンとの対面
そんな「捨てないパン屋」さんのパン。どんなものなんだろう。とワクワクしながら、早速箱を開けて、中身を出してみました。

左から、ブロン(小)、エポートル(小)、ブリオッシュ。
パウンドケーキの型1つ分、というくらいの大きさでしょうか。小とはいえ、ずっしりと重いです。
箱には商品の説明書も入っています。厳選された材料で作られていることがわかります。

小麦粉は国内産の有機小麦や品種改良をされる前の古代小麦を使用し、
塩は食塩ではなく、自然に作られた天日塩。これを石窯で焼く、本当に素朴なパンです。
実はこちらのお店、毎年7月中旬〜9月の上旬まで、夏季休暇に入られます。
田村さんはその間にパンの修行に出かけたり、小麦の生産者の元を訪れたりされていて、
自分の人生やパンにかける想いを大切にされていらっしゃる生き方にも
共感するところがあります。
本当であれば夏季休暇前に届く予定だったのですが、かの西日本豪雨のため
交通網が寸断されてしまい、2ヶ月越しにやっと、手にすることができました。
気になる味は
早速切ってみました。

左から、ブロン、エポートル、ブリオッシュ。
ブロン
原材料:有機小麦(北海道)、塩(長崎県)
噛むと次第に爽やかな酸味と甘みが感じられるパン。小麦の風味が強く、しっかりとした味。サンドイッチや魚料理などに合いそう。オリーブオイルをつけていただくと、オリーブオイルによってパンの酸味がコーティングされるのか、とってもまろやかな味に変化してびっくり。
エポートル
原材料:減農薬スペルト小麦(滋賀県)、塩(長崎県)
スペルト小麦で作られているパンということもあり、一番気になっていたパン。
スペルト小麦というのは、古代小麦の一種。今の小麦は品種改良(遺伝子操作)が進んでいるため、昔のままのものが食べてみたかったのです。
腸の炎症と言われるリーキーガット症候群は、小麦に含まれるタンパク質のグルテン(正確にはグルテンを構成するグリアジン)と乳製品に含まれるタンパク質のカゼインがそれを引き起こす主な原因とも言われています。小麦を品種改良した結果、小麦に含まれるグリアジンの含有量が増えてしまいました。古代小麦はグリアジン含有量が今の品種改良されたものより少ないのです。
グルテンを除去することで体質が改善される、という話もよくあります。ジョコビッチがグルテンフリーの食事に変更したことで、パフォーマンスが改善したという話は分かりやすい例ですよね。
私も昔は花粉症がひどく、またカンジタも発症してしまったのだけど、今考えると小麦の摂取過剰が一つの原因だったなぁと思います。チョコレートやケーキのような甘いものは苦手だったけど、パンやクッキーは大好きでしたから、、、。
話は逸れましたが、エポートルの肝心の味は、ちょっと香ばしい感じがしました。これも美味しい。こちらはオリーブオイルよりもはちみつに合いそうな感じです。酸味もありますが、甘みの方が勝っています。焼くと美味しい!
ブリオッシュ
原材料:有機小麦(北海道)、豆乳(九州)、卵(広島田辺ファーム)、原料糖(種子島)、発酵バター(高千穂)、塩(長崎県)
ブロンもエポートルも、小麦粉と塩のみ!という男気溢れるパンなのですがブリオッシュはハレの日に食べるパンということで卵や豆乳やら原料糖やらも入っています(卵はもちろん平飼い有精卵)。
まず、小麦の香りがすごい。そして、イメージしていたブリオッシュとは異なりやはりドリアンさんのブリオッシュ。かなりズシンと重みがあります。でも、一口食べて発酵バターの芳醇な香りと、切った感触とは異なるずっしりなのに、ふわっと軽い歯ごたえは驚きです。
これも美味しい!個人的には何もつけず、そのまま食べるのが一番好きかもしれません。
これが、本来のパンの味
小麦の甘みと天然酵母の酸味が混ざった複雑な味なので、
いわゆる白いふわふわした町のパン屋さんで売られているパンや
スーパーで売られているパンを食べ慣れていると、
硬くて酸っぱい
と思われるかもしれません。
でも、本来のパンってこう言うものなんだよな、と実感させてくれる味です。
噛めば噛むほど味わいが出てきますし、少量でも本当に満たされました。
市販されているパンの材料に使われる小麦は
度重なる品種改良の末、グルテンの含有量が増えています。
さらに、農薬や肥料、除草剤という薬剤とセットで栽培されており、グルテンに加えて農薬などの薬剤がより人の身体に悪影響を及ぼしてしまっています。
また、このグルテンには強い依存性があります。そのためいくら食べても物足りなく感じたり、もっと食べたい!と脳が反応してしまったりするのです。
(この辺りは別の記事で書いていきます)
ただ食べるのではなく、本当に厳選されて作られた一回一回の食事をじっくりと味わうことは、自分を大切にすることにもつながりますし、作り手や生産者の方への敬意を表すことにもつながる気がします。
しみじみと味わい、からだとこころで美味しさをかみしめるパンでした。ご馳走さまでした!
全国に発送を行っていらっしゃいますので、よかったら一度食べてみてください^^
ドリアンさんHPはこちら